不均一ポリユビキチン鎖とシャトル因子の”ライブラリ×ライブラリ”相互作用解析

古畑 隆史

東京大学・大学院工学系研究科(工学部) 助教

研究室HP

近年、ストレス環境下でタンパク質の品質管理を制御するメカニズムとして、ポリユビキチン鎖とシャトル因子による液液相分離が注目されている。相分離液的内では、基質タンパク質が、プロテアソームとシャトル因子を介して濃縮されるため、効率的かつ選択的に分解されると考えられる。しかし、ポリユビキチンの構造は、ユビキチン同士の結合に使われるアミノ酸の位置、分岐の有無や形状の観点から非常に多様であり、構造と機能の系統的評価が非常に困難であった。そのため、液液相分離を強力に誘起するポリユビキチン鎖とシャトル因子のペアや、鍵となるポリユビキチンの構造的特徴など、液滴形成の背景にある相互作用の体系的な理解は進んでいない。本課題では、ポリユビキチン鎖のワンポット構造制御合成法とDNAバーコーディング技術を組み合わせた”ライブラリ×ライブラリ”の相互作用解析手法の確立を目指す。それにより、複数のシャトル因子とポリユビキチン鎖が共存する混在系において相互作用の強弱を網羅的に評価することを可能とし、シャトル因子とポリユビキチン鎖の相分離挙動を制御する化学メカニズムの理解へ繋げることを目指す。

  1. Furuhata T, Komoto Y, Ohshiro T, *Taniguchi M, Ueki R, *Sando S. Key aurophilic motif for robust quantum-tunneling-based characterization of a nucleoside analogue marker. Chem. Sci. 11, 10135–10142 (2020)
  2. Furuhata T, Ohshiro T, Izuhara Y, Suzuki T, Ueki R, *Taniguchi M, *Sando S. Chemical Labeling-Assisted Detection of Nucleobase Modifications by Quantum Tunneling-Based Single Molecule Sensing. ChemBioChem, 21, 335–339 (2020)
  3. Furuhata T, Ohshiro T, Akimoto G, Ueki R, *Taniguchi M, *Sando S. Highly conductive nucleotide analogue facilitates base-calling in quantum tunneling- based DNA sequencing. ACS Nano, 13, 5028–5035 (2019)
  4. Tsuchiya A, Hashim S. N, Ise S, Furuhata T, Kawai K, Wakabayashi R, Goto M, Kamya N, Sando S. BODIPY- Labeled fluorescent aptamer sensors for turn-on sensing of interferon-gamma and adenine compounds on cells Anal. Sci. 32, 543–547 (2016)